日本ワインの品種と特徴
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日本の白ワインといえば甲州。
日本食に合います。
山梨県原産の「甲州」は数少ない貴重な日本土着のブドウ品種なのですが、甲州から造る白ワインは好みがはっきり分かれます。香りがあっさりで酸味も弱くクセがないのが甲州の長所ですが、裏を返せば味も香りも薄いということ。ワインを飲みなれた人には物足りず、人によっては「日本酒みたいな香りが苦手」とか「後味に苦みを感じる」と感じるようです。
欠点の薄さを改良するため、「シュール・リー」製法というオリをからませる醸造法でコクを出す工夫をしていますが、それでも海外の白ワインと比べるとパワーは足りません。私もコクがない品種だなとは思うのですが、この薄さが和食に合うので普段の食事に合わせるワインとして重宝しています。
日本料理に欠かせない醤油・味噌・出汁は、ワインとの相性が良くありません。試しに海外産の果実味の強いミネラル豊富なワインを、醤油をつけたお刺身、魚の味噌漬け、あさりの佃煮などと一緒に飲んでみてください。後味に生臭さを感じるはずです。
ところが甲州はそのいずれともバッティグせず、逆にさっぱりとした香りと味わいが日本料理の淡白な味わいを引き立てます。お寿司やお造りでも大丈夫です。我が家では、醤油や味噌や魚介がふんだんに使われるお正月のおせち料理に甲州を合わせます。ワインのフルーティさが苦手な男性や日本酒が好きなおじいちゃん世代にも、甲州は受け入れられるのでは?TPOを選べば、甲州は素晴らしいマッチングを見せてくれます。
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明治の偉人が生み出した
キュートな香りのマスカット・ベリーA
新潟の豪雪地帯で赤ワイン用ブドウの「マスカット・ベリーA」は誕生しました。明治時代に新潟北方村(現在の上越市)の大地主だった川上善兵衛氏が、荒れた土地にブドウを植えてワイン造りを始めました。情報が乏しい時代に独学でのワイン造りは困難を極めましたが、なんとかワイン造りに成功すると、次に日本の気候に合う醸造用ブドウ品種の開発を始めます。そして、何十年もの研究と実験の結果生まれたのがマスカット・ベリーAでした。ブドウ畑はその後「岩の原葡萄園」になり、現在も同じ地でワインを造っています。
川上氏は人望の厚い地元の名士だったようです。冷害や災害に苦しむ貧しい小作人のために私財をなげうって完成させたマスカット・ベリーAなのですが、残念ながら甲州同様に、「香りが軽い、味がない」と海外産のワインを飲みなれた人には不評です。
でもこのワインも日本食には欠かせません。お刺身、お寿司、お醤油、味噌、なんでもいけます。酸味が高くドライなので、マグロの漬け丼や脂ののったサンマの塩焼きなどに合わせるとおもしろいですよ。キャンディーみたいな甘い香りと少ない渋味がワイン初心者にもおススメです。
ワイン法がない日本。
地域ごとに原産地呼称の動きが出ています。
日本にはフランスのAOC法のようなワインの品質を全体的に管理する法律はありません。日本でワインに関する法律といえば課税額を定めた酒税法で、「果実酒(ワイン)とは果実又は果実及び水を原料として発酵させたもので…、アルコール分が20度未満のもので…、酒税の税率は1キロリットルにつき14万円とする」という内容が難解な日本語で記されています。
2013年に「国税庁の告示」という形でワインの地理的表示に「山梨」が指定され、これにより一定の条件を満たしたワインだけが「山梨」と名乗れるようになりました。国が関わったワイン初の原産地呼称といえます。自治体ベースでは、長野県が「長野県原産地呼称管理制度」、山梨県が「甲州市原産地呼称ワイン認証制度」、山形県では県が「山形セレクション」、酒造組合が「山形県産ワイン認証制度」を定め、独自の原産地管理を行っています。
ところで日本ではかつて、輸入ワインを日本で瓶詰めしたワインや、輸入したブドウ果汁に水とアルコールを加えて発酵させたものも、国内で加工すれば「国産ワイン」と表示することができました。しかしそれは問題があるということで、ワインの業界団体が自主基準を定めたのですが、それによると「国産ワイン」とは「1.国内で製造したワイン、2.これに輸入ワインをブレンドしたワイン」を指すそうです。
2を国産と名乗れることに疑問を持つのは主婦だけ…?また1の「製造」には瓶詰めを含むという見解もあるので、これまで通り輸入ワインを国内で瓶詰めすれば国産になるのかしら…?どうも大手ワイナリーが絡んだ大人の事情があるようです。
日本のメーカーが販売する千円以下のワインを見かけたら、ボトル裏のラベルを見てみてください。原料名に「輸入ブドウ果汁」「輸入ワイン」と書かれていたら、それは「国産」でも上記のような製法で造られたワインと考えられます。