生活と風土と共にオーストラリアワイン
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想い出の地。
マーガレット・リヴァー。
オーストラリアは、私とダンナさんがワインを学んだ思い出の土地。いつものコラムに増して主婦ソムリエの体験談ばかりになってしまいそうです。体験談をパスしたい方は、最初を飛ばして最後の方だけお読みくださいね!
pino-pinoは、ダンナさんのワイン研修についていくため、妊娠7か月のときにダンナさんと一緒にオーストラリアの西海岸にあるパースに渡りました。そしてパースで出産し、その2か月後には生まれたばかりの赤ちゃんを連れて、ダンナさんが勤めるワイナリーのあるマーガレット・リヴァーに向かいました。
マーガレット・リヴァーは、パースから南に300km。牧場やブドウ畑がどこまでも続く、牛や羊の数が人間より多いようなのどかな町でした。
西オーストラリア州もブドウ栽培に適する地中海性気候です。夏の日中は毎日40度を超え、強い直射日光は肌をじりじりと焼きます。夏の間、雨は一滴も降らず乾燥で肌はカサカサします。昼と夜の気温差は20度近くあり、季節の変わり目も突然で、昨日まで40度の真夏だったのが、翌日からは上着が必要なほど急に寒くなります。日本のしっとりとした空気や徐々に変わる四季とは正反対で慣れるのが大変でした。
植物も動物もブドウもスクスク育つ。
手付かずの大自然が残るオーストラリア。
オーストラリアの土地は肥沃です。ほかの大陸と海で断絶されているので空気も土地も汚染されていません。野生の花や動物がそこら中にみられます。あるワイナリーを見学していたら、ブドウ畑の中をカンガルーが駆け抜けていき、別のワイナリーではブドウ畑で羊やヤギを飼っていました。また別のワイナリーでは、素足にサンダルだった私は、2cmもの巨大な蟻に足の指をかまれてしまいました。痛む指をさすりながら、「蟻でさえこんなに大きく育つんだから、ブドウもスクスク育つはずだよね…」と、見当違いなことを思ったのです。
広大な土地で育つと人間も大らかになるのか、オージー(オーストラリア人の愛称)は細かいことを気にしない、なにがあっても「No Worries!(大丈夫!)」の陽気な人たちです。でもワイン造りも大ざっぱ(笑)。巨大なブドウ畑にトラクターを走らせガーッとブドウを収穫し、機械でブドウをプシュっと潰し、5mもあるタンクに放り込んで発酵させます。
オーストラリア産で千円前後のワインは、日本で飲むと造りが雑に感じられます。でもこれを、オーストラリアのカラッした太陽の下、甘ったるいソースでBBQのお肉を食べながら飲むと、なぜかぴったり合うのです。むしろ、オーストラリアの風土とブルゴーニュの繊細なピノは合わない。気候とワインの相性はうまくできてるなと思います。
最後にオーストラリアのワイン概論です!
ダンナさんが勤めたワイナリーのこと、ワイナリー併設の美味しいレストラン、毎週末どこかで開かれるワインパーティのことなど、お話ししたいことは山ほどありますが…またの機会にして、最後になりますが、オーストラリアワインの基礎情報をお伝えします!
オーストラリアは国土の約4割が砂漠で、ワイン産地は大陸の南半分の海沿いに点在しています。大手企業が造るデイリーワインが9割、残りの1割は少量生産のブティックワイナリーが造る高品質ワインです。
ブドウ品種は赤ワイン用のシラーズ(フランスのシラー)の栽培が断トツ。スパイシーでタンニンもアルコールも高いシラーズは、ワインを飲みなれた人にはたまらない個性的な味です。オーストラリアの最高銘柄は、ヘンチキの「ヒルオブ・グレイス」か、ペンフォールドの「グランジ」でしょうか。私はどちらも未体験ですが、超パワフル&超濃厚なはずです。 オーストラリアには「BYO」ができるレストランがあります。「BYO」とは「Bring Your Own=持ち込み可」という意味で、ショップで買ったワインをお店で飲むことができるシステムです。持ち込み料として1人3ドルとか1本5ドル程かかりますが、日本のレストランで飲むワインの値段に比べたら、かなり安くお店でワインを飲むことができます。
オージーは、レストランでも自宅でもテーブルにどんとワインボトルを置いて、ワイワイ楽しくワインを飲みます。オージーにとって、ワインは特別な存在ではなく生活に自然に溶け込んでいるもの。pino-pino理想のワインライフです!