世界中に広がるチリワイン
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「チリカベ」はワイン業界の価格破壊。
チリといえば?南米にある細長い国で、モアイ像があるイースター島もチリ領だっけ?、あとよく地震が起こる国…?くらいの認知度ですよね。チリがワインを造っていなかったら、私にとってもあまり縁のない国だったと思います。
チリの国内的な法改正と外国資本の参入がきっかけとなり、1980年代にチリのワイン産業は飛躍的に発展しました。ワインといえばフランス産がメインだった日本にも、90年代後半からチリのワインが大量に輸入されるようになりました。
特に千円前後で買えるカベルネ・ソーヴィニヨンは、安いのに美味しい!「チリカベ」というニックネームであっという間にワインバーやワインショップの主役になりました。チリカベは日本のワイン業界に価格破壊をもたらしたのです。
特別なことをしなくてもオーガニック栽培ができる。
ブドウ栽培に最適な土地。
チリ最大のワイン産地は、細長い国土のほぼ中央に広がるセントラル・ヴァレーと呼ばれる地域で、典型的な地中海性気候にあたります。夏はほとんど雨が降らず乾燥し、朝晩の気温差は20度近くにもなります。人間にとっては厳しい気候ですが、ブドウにはこういう気候がベストなのです。
ワイン生産者を最も悩ませるのは収穫前後の雨です。雨がブドウに付いてカビや菌が繁殖してしまうと、そのブドウはワイン造りに使うことができません。それで多くの生産者は、雑菌が繁殖しないように防腐剤や殺菌剤を使用します。でも雨が少ないチリでは農薬を使う必要がありません。チリの人たちは、自然に任せてブドウを育てていただけなのですが、実質的にブドウのオーガニック栽培をしていたことになります。
このすばらしい素質を持つブドウに外国のワインメーカーが目をつけ、資本と優秀な醸造家がどんどんチリに流れ込みました。地元の人件費が安いこともあり、リーズナブルな美味しいワインが世界中に大量に輸出されるようになりました。たった数十年で、ワインはチリを代表する輸出品の一つになったのです。
フランスワイン界の重鎮とチリの巨大企業の
コラボレーション「アルマヴィヴァ」。
千円前後のチリカベでも、普段飲みには十分美味しいワインなのですから、5千円も出せばチリの最高級ワインをいただくことができます。タンニンが豊富でパワフルなワインが好きな方なら、ぜひぜひ「アルマヴィヴァ」をお試しいただきたいです!
アルマヴィヴァは、フランス・ボルドー1級のムートン・ロートシルトを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社と、チリ最大ワインメーカーのコンチャ・イ・トロ社がコラボして造ったワインです。価格は2万円弱しますが、ボルドー1級が高くなりすぎて手が出せない昨今、ボルドースタイルの最高級ワインが2万円で飲めるなら、決して高くない買い物だと思います!
ところで、ワインにハマり始めると、だんだん値段の感覚がマヒしてきます。750mlの飲み物に2万円。普通に考えたら絶対に「高い買い物」、いえ「高すぎる買い物」ですね…。でも、もしも高いワインの買い物をパートナーにとがめられたときのために、ステキな言い訳を考えてみました。
お医者さんから聞いた話によると、記憶と一番結びついているのは嗅覚なのだそうです。子供の頃に育った土地のにおい、例えば、海の磯の香りや野焼きの煙をかぐと、認知症のご老人の記憶が刺激され、笑ったり泣いたりすることがあるそうです。
飲んでしまえばワインは消えてしまいますが、感動したワインの香りは記憶の深いところに刻まれます。そして、そのときワインを一緒に飲んだ大事な人との想い出もまた、記憶に強く残るはずです。想い出はプライスレス!